社長ブログ

「 月別アーカイブ:2014年06月 」 一覧

老舗の商売人が、一番大切にするもの

 

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長期出張をしていまして・・・久々の投稿です。

 

先月、「羊羹の元祖」として有名な、創業550年の老舗和菓子メーカー「駿河屋」が民事再生法に基づく再建を断念し、事業を停止しました。

 

 

「駿河屋」は室町時代中期の寛正2年(西暦1461年)に木曽源氏の一門の出である岡本善右衛門が、京都 伏見に「鶴屋」の屋号で創業。

 

 

江戸時代初期の元和5年(西暦1619年)に 徳川頼宜が紀州(和歌山県)に国替えになった際、5代目 岡本善右衛門の「鶴屋」が紀州徳川家の御用菓子司に任命されたのに伴い、紀州に御用本店を、京都 伏見には総本家を設置。その後、練り羊羹(ようかん)の製法を確立。

 

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貞享2年(西暦1685年)、第五代将軍 徳川綱吉公の娘の鶴姫が、紀州徳川家に嫁ぐ事となり、姫様と同じ名前の屋号は良くない・・・という事で、元禄2年(西暦1689年)に「鶴屋」は 徳川家所縁の駿河国にあやかって、屋号「駿河屋」と改めました。

 

 

そんな「名門の老舗和菓子屋」である「駿河屋」が、倒産した訳です。

 

 

私の専門は「ネットショップの家庭教師」であるとともに「老舗流“のれん”経営」も専門領域ですので、非常に興味深いニュースです。

 

 

 

また、個人的には 私自身も「伏見の老舗」ですし、新婚時代に、この駿河屋 発祥地である京都・伏見の 駿河屋 創業家が所有するマンションに住んでいましたので、複雑な心境です。

 

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「駿河屋」が法人として設立されたのは昭和19年。

 

昭和36年には東証・大証2部に上場し、平成4年の売上高は60億2500万円に上りました。

 

しかし平成17年、「実態のない約11億円の第三者割当増資で法人登記に虚偽を記録させた」という架空増資事件により、社長らが逮捕され、東京と大阪の両証券取引所で上場廃止となり・・・

 

とうとう、今回の事業停止となりました。

 

様々な記事には「のれんを守るため、架空増資で上場廃止を免れようとした」と記載されていますが・・・

新聞記者は「のれん」というものが何なのか、全く解っていませんね~。

 

老舗の経営は基本的には「信用」が第一で、それを代表する言葉が「のれん」というものです。

 

似た言葉として「ブランド」がありますが、「のれん」と「ブランド」は全く異なるものです。

 

「ブランド」とは西洋的な発想から来ており、もともとの語源は「所有している牛の焼き印」から来ています。

 

つまり「識別記号」から端を発しており、「競合相手の製品やサービスと差別化すること」を意図した「社名・製品名・ロゴマーク・キャラクター・ジングル・パッケージ・スローガン」を指します。

 

ですから「ブランド」は「差別化・識別された所有物」です。

 

しかし、「のれん」の語源は「寺の間仕切りに使われていた暖簾」が語源。その後、武士の旗指物になり、商家の暖簾になり、「信用の証」になりました。

 

「のれん分け」という言葉に代表されるように「のれん」は1家の所有物ではなく「商いを行ってきた信用と歴史」の証なのです。

 

「駿河屋が倒産した理由」については、様々な新聞記事や専門家のブログで「上場したからだ」「信用を失ったからだ」など書かれているので、私はあえて その事には触れません。

 

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老舗にとって一番大切なことは「信用」ですが・・・

私が今回、述べたいのは

 

「老舗の商売人が一番大切にするもの」です

 

それは・・・「人」です。

 

老舗の商人は 「人」  を大切にしています。

 

「人」とは、

 

「買ってくれる人」 と 「そこで働く人」

 

そして・・・

 

「売ってくれる人」

 

です。

 

老舗は、長い歴史の中で、大きな危機に何度も遭遇しています。

 

こうした危機を克服するには、「力を貸してくれる人」 が、どれだけいるか(確保しているか)

 

・・・で決まります。

 

商売をしている人は

 

「買ってくれる人」を大事にする・・・これは当たり前です。

 

ところが、「そこで働く人」 を粗末にしていると・・・危機の際に 総崩れになってしまいます。

 

老舗は、それに加えて

 

「売ってくれる人」 を大切にします。

 

なぜなら、取引先(仕入先)は、会社を従業者と共に支え、成長させてくれる 「大切なパートナー」 と捉えているからです。

 

取引先との信頼関係が築けていないと、到底 パートナーにはなってもらえません。

 

しんらい

 

よく、取引先(仕入先)を粗末にあつかう会社(経営者や従業員)を見かけますが・・・

 

長期的に成長する可能性は、極めて低いといえるでしょう。

 

商売の原点は「物々交換」です。それが、金というものが生み出され、「金」で「価値」と交換をするようになりました。

 

つまり「相互の価値交換」なのです。

 

そのことを、老舗は叩き込まれているのです。(今風にいうと、ステークホルダーですね)

 

その 「相互の価値交換」 の奥にあるものが 「信頼関係」 と 「信用」なのです。

 

互いの 「ゲゼルシャフト」という緊張関係の、さらにその奥にある「ゲマインシャフト」が築ける関係・・・かもしれません。

 

だから「買ってやっている」という態度は取らないのです。

 

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ですから、私は

取引先のことを平気で「ギョウシャ」と呼ぶような経営者(または従業員がいる会社)や、

 

どうしてプロに無償で仕事依頼しちゃダメなのか – 原価のある、時間

 

に登場するような人は・・・

 

「あ・・・商人失格だね・・・」

 

と思って、一切お取引をしないのです。