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ネット通販の世界でも専門店が無くなる?
2014/02/06 | ネットショップ・Eコマース
今日は、新幹線の中から投稿することにしました。
私は、もともと吉村酒造という酒造会社の蔵元ですから、
毎月のように新幹線で出張していました。
今から17年前の1997年に実家の吉村酒造に入り、
最初に担当したのが「通信販売部門」と「広域量販部門」でした。
「通販部門」は・・・
「大手通販会社や中堅通販会社などに販売」 する BtoB
「カタログで顧客に販売」 する BtoC、
そして、当時は珍しかった・・・
「ネットショップで販売」 する BtoCでした。
「広域量販部門」は・・・
「卸問屋に主力商品を大量に販売」 するBtoB・・・
主に、卸問屋への数字の“お願い”と、
問屋の先の 小売(酒販店)を回って挨拶する“ルート営業” でした。
あとは、
「デパートへの販売」
も担当しました。
主な内容は、
「デパートのカタログ販売の企画」 と・・・
「催事での試飲宣伝販売」でした。
試飲宣伝販売とは、
GWや、お盆や、年末に、
デパ地下の酒売り場で法被を着て、
小さいコップにうちの酒を入れて、
来店客に飲んでもらい・・・
接客して、買ってもらう・・・
というスタイルの販売方法です。
だいたい、各祭事は1週間ほどでした。
マネキンの女性と2人で行うのですが、
うちの会社は
「酒販売のカリスマ」と呼ばれた
Hさんという女性のマネキンさんが担当で・・・
Tデパートでも、Dデパートでも、
Hデパートでも、Iデパートでも・・・
いつも、このHさんでして、様々なことを教わりました。
今回のテーマとは外れますので、Hさんの話は
いずれまた・・・
さて、本題に戻ります。
当時の吉村酒造の売上比率は、
圧倒的に「広域量販部門」が高く、全体の95%でした。
そして、卸の先の「小売業」のお客様も、
大半が「酒販店さん」で・・・
スーパーやコンビニの比率は、皆無に等しかったです。
更にその9年前の1989年から
酒販免許の規制緩和が徐々に開始され・・・
スーパーやコンビニなどの大手小売業が急激に市場シェアを伸ばしていき・・・
ちょうど、私が吉村酒造に入った頃は
小売サイドの構造変化が卸売に影響を及ぼし始めた頃で、
「酒類問屋の合併・淘汰」が開始された頃でした。
そんな中で、吉村酒造の「通販部門」は、急激に売上高を伸ばし始め、
3年後の2000年には
月商も、3000万円まで伸ばしましたが・・・
売上の大部分を占めていた 「広域量販部門」は、
年々 無残な状態でした (苦笑)
1998年頃から・・・
ある地域に「大型ショッピングモール」や「ディスカウントストア」が出来ると・・・
吉村酒造の主な得意先である「近隣の酒販店さん」は
あっという間に町から次々と消えていきました。
その町の商店街からは「酒屋さん」だけでなく
「魚屋さん」「八百屋さん」「肉屋さん」「米屋さん」
「金物屋さん」「本屋さん」「自転車屋さん」
など専門店が消えていきました。
そんな中・・・商店街で生き残っていたのは
「床屋さん」「眼鏡屋さん」「パン屋さん」「花屋さん」
でした。
つまり
「特化型で利益率が高い商売」か、
「特定のお得意さんを抱えている店」か
「職人が作った商品を販売」
しているような商売が生き残っていました。
近年、資本力の大きい大手企業が巨額の投資を行い、
本格的にEC(イ―コマース)に参入するケースが増えてきています。
典型例はAmazonですが・・・
最近ではセブン&アイ・ホールディングスがニッセンの買収を発表したり、
イオングループが全社をあげてECに注力すると表明しました。
中小企業が多い イーコマース業界・・・
特に「パパママ・ショップ」が多い ネットショップ専業店は、
これから大企業と同じ土俵で戦わねばならなくなった訳です。
今までは、「通販」の中でも 「ネット通販」は大手企業が本格的に参入しない・・・
いわゆる「隙間」産業でした。
ところが
ネット通販も、17年前に私が目にしたことと
同じような状況が起こり始めているのです。
では、「中小のネットショップに未来は無いのか?」というと、
そうでもありません。
淘汰の大波の中でも生き残り、
今も立派に商売を営んでいらっしゃる
酒販店さんが何軒もいらっしゃいます。
私がルート営業で酒販店さんを回っていた頃・・・
2500店の酒販店を担当していたのですが、
「あ、この酒販店さんは今後も残るだろうな」
と、私が(勝手に)思っていたお店が
43店舗ありました。
16年経った今でも、
34店舗は元気に商売を営んでいらっしゃいます。
なぜ、当時 私がそう思ったのか?というと・・・
それらの店舗さんには
「ある共通点」があったからです。
それは
(1)お店のブランディングに力を注いでいた。
(2)優良顧客・ファン・リピート客を抱え、そして客を育て続けていた。
(3)顧客層や商品を絞り込むと同時に「うちの店が選ばれる理由・強み」を明確に持っていた
(4)店主さんが若いか、または 店主の後継者に「店のイズム」がしっかりと継承されていた。
の4つです。
実は、私が予測していた「43のお店」のうち、
「9つのお店」は、廃業したり倒産していまいました。
この9つのお店のうち、
身体的なご不孝により廃業されたお店(4つの店)
を除く
5つの店についてですが・・・
後から考えてみると、これまた「ある共通点」がありました。
それは・・・
(A)周りの同業他社が苦戦している中、自分の店が好調なのを自慢していた。
(B)他人から何か学ぼうとする姿勢や、学び続けようという姿勢がなかった。
の2つです。
つまり 「自分の商売の考えや手法は完成された」
・・・と、慢心なさっていたのでしょう。
日露戦争で勝った日本は、
慢心して進歩という事を疎かにし・・・
その結果 アメリカに大敗しました。
いま成功なさっておられるネットショップさんの中にも
(A)(B)のような方を散見します。
「常在戦場」の心得・・・大事ですよね。