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ヤフー「eコマース革命」について考察
2013/10/15 | ネットショップ・Eコマース
こんにちは。ハイフィット社長の吉村正裕です。
今回の話題は「eコマース革命」です。
Yahoo! JAPANがEC事業における新戦略を発表し、
先週のEC(eコマース)業界は、その話題で持ちきりでした。
EC業者だけでなく、ユーザーも殺到し、
新規ストア出店希望数が、1日で(法人)約1万件、
(個人)1万6000件にのぼったそうです。
「Yahoo!ショッピング」は従来までは、出品企業から
出店料(初期費用2万1000円、月額費用2万5000円)と、
売上ロイヤリティ(売上の1.7~6%)を徴収していました。
ところが、ヤフー会長でもあるソフトバンクの孫正義社長が
2013年10月7日に「eコマース革命」として
「Yahoo!ショッピング」の上記の費用について、すべて無料化を発表し、
「2019年までに国内EC流通総額商品数で1位になる」とぶち上げた訳です。
国内のECモール最大手の「楽天市場」では、
初期登録費用として6万円、
月額出店料1万9500~10万円、売上ロイヤリティ2.0~6.5%
が必要で、
近年は半ば「アタリマエ化」していたので、余計に衝撃が走ったわけです。
今回の孫さんの発表で私が気になったのは
「どこで儲けるの?」
という事と、
「なぜ、今、eコマースのテコ入れ?」
の2点でした。
国内EC市場を見渡せば、昨今は、楽天とアマゾン という
2大巨頭が飛びぬけており、
最近のYahooショッピングは凋落傾向だったからです。
現時点では・・・
【楽天市場】
●出店数 4万 ●商品数 1億5000万点
【Yahoo!ショッピング】
●出店数 2万 ●商品数 8000万点
といった具合で、
Yahoo!は、知名度とポータルサイトの集客力があるとはいえ、
現状を打破するのはそれほど簡単とは思えない訳です。
しかも、出店利用料やロイヤリティを放棄すれば、
Yahoo!ショッピングの収益が激減する訳です。
しかし、孫正義 さん自らが登場して「革命」と宣言したのだから、
何か勝算があるに違いない。
孫正義 さんといえば
『孫の二乗の兵法』という言葉を生み出したほど、
「孫子の兵法」の使い手・・・
『孫子の兵法』の第七章:軍争篇に
有名な『迂直の計』というものがあります。
この迂直の計は、戦いの中で最も難しいであろう勝利への道を作り出す方法です。
『軍争の難きは、迂を以って直となし、患を以って利となすにあり』
現代語に訳すと
「回り道をしながら直進し、損をしながら得をする」
といったところでしょう。
Yahoo! は、もともとポータルサイトであり、
収益構造は「広告収入」が主体。
親会社のソフトバンクは今や「通信会社」です。
Yahoo!にしてみれば、
ECでの収益は微々たるものだから、
『ポータルサイトなので、広告収入を増やしていく』
という基本路線は変わっていない筈です。
ということは、
Yahoo!ショッピングの出店数や商品数を増加させると、
ポータルサイトたるYahoo!への広告が増える・・・という訳ですね。
まさに「損して得とれ」という訳でしょう。。
日本の BtoC EC(電子商取引) 市場規模は、
2011年の数字で8.5 兆円と伸び続けていますが、
EC の浸透を示す指標である「EC化率」は 2.83%・・・
つまり、小売業・サービス業において
ネット通販している割合は、3%未満なのです。
だから、
『孫さんのねらいはリアル店舗の掘り起しではないか?』
と勘ぐってしまう訳です。
それと、もう一つ。。。。
ソフトバンクは米国のスプリントを買収したのは
記憶に新しいところですが、
スマホ普及率が過半数を超える米国は、
リアル店舗による「オンラインストアの併設」が盛んです。
米国のトレンドを日本に持ち込んで戦いを有利に進める
という事を、昔から得意としている孫正義さんは、
この流れも当然視野に入っているでしょう。
という事を考えていると
「なぜ今、eコマースなの?」
という疑問も解ける気がしますね。