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『頑張っているのに成果があがらない経営者』が点検すべき3つの事とは?
2014/05/24 | マネジメント・業務改善
久々の投稿です。
私は『ネットショップの家庭教師』として様々な経営者さんの御相談を受けますが・・・
中にはネットショップではなく、
BtoBの会社さんだったり、
リアル店舗の経営者さんだったりすることもあります。
そんな中で、『頑張っているのに成果があがらない経営者』
にもお会いします。
そういう方の特徴として多いのが、以下の3つです。
(1)手段が目的化している
(2)事業を定義していない
(3)利益=労働対価になっている
ひとつづつ説明していきましょう。
(1)手段が目的化している
本来、「手段」というものは・・・
「Aという目的を実現・達成するために、選択して実行されるもの」
なのですが・・・
「その手段を実行すること自体が目的になってしまい、本来の目的であるAをも忘れてしまうこと」
になってしまっている方がおられます。
具体例を挙げます。
先週、立ち寄ったファミレスでの出来事です。
とても礼儀正しい『言葉』を使うウエイトレスさん達がいるお店でした。
『いらっしゃいませこんにちは!●●へようこそ!』
から始まる 馬鹿丁寧な・・・
『ステレオタイプの接客言葉』 『バイト敬語』
のオンパレードでしたが・・・
そのウエイトレスさん達は、
私の隣の席に座っている客が椅子にかけていた背広の上着が床に落ちているのに対して、
声をかけようともしませんでしたし、気づくことすらしませんでした。
ウェイターやウエイトレスの本来の目的・役割というものは、
飲食物をテーブルに出す
『給仕』
と、
気持ちよく食事を楽しめる環境をつくり、再訪問してもらえるよう努める
『接客』
の2つです。
『ウェイターの接客が、その店のレベル・質を量るバロメーターにもなる』
といわれるように、良い接客を目指すのが使命です。
その手段として、
『フロアーへの目配り・気配り』
や
『丁寧な言葉づかい』
があるのですが・・・
その店では、手段である
『丁寧な言葉づかい』 だけがマニュアル化されてしまい、
本来の目的である
『気持ちよく食事を楽しめる環境をつくり、再訪問してもらえるよう努めるための接客』
を忘れてしまっているように感じました。
企業の本来の目的、事業の本来の目的とは何でしょう?
(2)事業を定義していない
企業の経営資源は
『人』 『金』 『モノ』 『技術・ノウハウ・情報』 『時間』 です。
それら経営資源は、中小企業は特に限られており、
その中で 『何を、どのように、頑張るか』 が大事になります。
「何を」 という中の最重要なのが「核」ですね。
「核」となる事業を「コア事業」といいますが・・・
「コア事業」を、更に深め (あるいは広め)て、それが他社の追従を許さぬまで磨くために、
競争相手との『差別化点』を、より一層高めていかなければなりません。
大事な事は、その 『差別化点』 を決めるのは“お客さまである” ということです。
売れないのは、顧客満足の条件が満たされていないからです。
お客様の満足を得るために、自社のサービスや商品は
他社のそれよりも品質がより優れていなければならないのは当然の事ですが・・・
同時に『自身も儲ける』ことをしないと、それはただの『ボランティア』になってしまいます。
最も大事なことは、
『お客様のお役に立ち、自身も儲かる』
以外には無いと私は考えます。
(3)売上=労働対価になっている
経営者が「売上」「利益」についてどう捉えているか・・・
については2パターンあります。
『価値の対価』
か
『労働の対価』
です。
私は、お客様が当社の提供するサービスに対して感じた価値について、
その対価としてお金を頂き、利益を出すことが会社のあり方だと考えています。
つまり 『価値の対価』 です。
しかし・・・
「労働の対価」と思っている方の場合は、
『仕入れ価格や作業量の上乗せ』
としか思っていないので・・・
こういった考えの方は、意外なことに『安売り』 に走ってしまうんです。
なぜなら
『儲かっていない』 ⇒ 『売上が欲しい』 ⇒ 『安売りする』
または
『儲かっていない』 ⇒ 『売上が欲しい』 ⇒ 『売上額はほしい』 ⇒ 『自分がタダ働きすれば良い』
というスパイラルに陥ってしまうからです。
以上、3つの特徴を挙げてみました。
もし、『忙しいのに儲からない』という事で、もがき悩んでいる経営者さんがおられましたら、
いったん上記3つを客観的に、冷静に見つめなおされては如何でしょうか?
脱サラ・独立・起業したけど上手くいかない人が「しなければいけない」2つの事
2014/05/03 | マネジメント・業務改善
経営者に限らず、仕事をしていると様々な挑戦をしなければならず、その結果として失敗(挫折)する累積回数も増えていきます。
特に経営者の場合は、その失敗や挫折が「自分の会社」や「自分の会社の社員」そして「自分の人生」をも変えてしまう事になる場合が多いので・・・
それだけ心の痛みや、懺悔、屈辱、怨念、後悔、嫉妬といった心の闇を多く体験することになる訳です。
しかし、挫折体験というのは実は「貴重な経験」であって、そこから反省し、学習をする機会でもあるのです。
一時的には辛い経験ではあるものの、長い目で見れば己を磨き、強くする糧でもあるのです。
さて本題です。
私は、『ネットショップの家庭教師』として様々な経営者さんに接する機会が多いのですが・・・
事前にお受けするか否かをヒアリングして
『あ、私には無理だな 』
・・・と思ってしまう方がいます。
そういう方は、なぜか?
『大企業を脱サラして起業してネットショップを始められた方』
で、
『悩んで、なかなか行動に移されない方』
の確率が多いのです。
たいていが
『安易な気持ちでネットショップを始めた』方で、『理屈っぽい人』
ですね(苦笑)
私は、こういう方々への『ネットショップの家庭教師』はお断りしています。
お断りする時にはご本人達には失礼なので申し上げない
『心の声』として【2つの提言】がありますので・・・
今回はそれを書きます。
1つ目は
『悩んでる暇があったら、とにかく我武者羅に動くこと』
です。
先述の様な方々とお話しをしていると・・・たいてい
『我武者羅さが足りないなぁ』
と感じます。(ご本人は、そうでないと主張されますが・・・)
とにかく何でも良いから、次の手を打つ!動く!やってみる!
必死になって動いていたら、余計な事を考えなくても済みますし・・・
動いている中から見えるものがあるのです。
2つ目は
『撤退基準の設定』
です。
要は『会社運営を諦めて、撤退する最終ライン』を決めておくことです。
それは数値的なものでも良いし、気持ち的なものでもかまいません。
『最終ラインまでは必死になって我武者羅に頑張る』ということが前提ですが・・・
行くところまで行ってしまって、全てをなくしてしまったら、再チャレンジのチャンスすら失いますし、挫折を活かそうにも その機会すら失ってしまいます。
事業を撤退することも、実は 結構エネルギーがいるので、余力を残した撤退ラインを決めておくことをおススメします。
撤退には『決断』が伴います。
決断にはタイミングが重要で・・・
物事が上手くいっていない経営者は「焦り」や「ストレス」から拙速に決断してしまいがちです。
かといって「決断する勇気」を持たず先送りしてしまうと、物事が袋小路に入ってしまい、先送りした問題が一気に、大きく襲いかかってきます。
では、いつ決断すれば良いの?
という事になりますが・・・
さっき言ったでしょ?
『撤退基準の設定』と。
経営者に贈る 「たまには思い出すべき、20個の諺」
2014/04/25 | マネジメント・業務改善
久々の投稿です(汗)
実は今週は東京、埼玉、神奈川、名古屋、大阪・・・と出張していたのですが。。。
名古屋や大阪の会合に出た際に
「ブログ、見てますよ!」という方が意外に?多かったので・・・
「これは、真面目に書かないといけないなぁ・・・」と意を新たにしたところです。
では、今から真面目に書きます(苦笑)
先日、ある有名なアパレル ネットショップの社長さん達と会食し、談義をしていたのですが、
その時に、その社長さんが
『私は、古いと言われるかもしれないけど、諺 を朝礼などで使っているんですよ』
と仰いました。
いわく
『さすが昔から伝わる言葉だけあって、不変の戒めなんですよね~』
と・・・・
その社長さんが仰ることを、あえて「諺」に例えていうと
●ふるきをたずねて 新しきを知る
昔のことや古い事柄を学ぶことによって、新たな発見をすること。過去のことをもとに、今起こっていることについて考えること。
といったところでしょうか。
そこで、今回は
「現代の経営者にも通じる諺」(手を抜いた訳ではないですよ!)を私なりに20個、集めてみました。
出典は「ことわざ辞典 日東書院」から引用しています。
●塵も積もれば山となる
わずかなものでも積もれば、山のように大きなものになる。小事をおろそかにしてはいけないということ。
●失敗は成功のもと
失敗しても、そのやり方の悪いところを直していくことによって、次は逆に成功することもあるということ。
●人の振り見て我が振り直せ
他人の行いの善し悪しを見て、これを手本として自分の行いを戒めること。人生はこの自戒の連続である。
●急がば回れ
急ぐときは危険な近道よりも、遠回りでも安全な道を選べ。結局はその方が速いことになる。
●七転び八起き
いく度失敗してもへこたれずに立ち上がって頑張ることをいう。また人生の浮沈の激しいことをも「いう。何事も最後まで頑張るものが勝つという励まし。
●百聞は一見に如かず
多くの人の言を何回も聞くよりも、たった一度でも実際に見た方がよくわかるということ。
●習うより慣れよ
改まって学習してもなかなか覚えられなかったことも、実際にやっていると自然に覚え込んでしまうもの。難しい理論よりも実際の経験が身に付くということ。
●鵜の真似をする烏
鵜の真似をして、水中に潜って魚をとろうとする烏は水に溺れる。自分の能力を考えないで、形だけ他人の真似をして失敗することのたとえ。
●聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
知らぬことを聞くのは、その場だけの恥ですむが、聞かないで入れば、一生知らぬことで恥ずかしい思いをしなければならない。
●門前の小僧、習わぬ経を読む
寺の近所に住む子供たちは、自然に僧の読経を聞き覚えて、御経を読むようになるということで、日頃の感化の力の大きいことをいう。
●論より証拠
論争をするときには、証拠を出すのが物事の是非をはっきりさせる一番いい方法である。単純に白黒をはっきりさせるには証拠は唯一の決定者になる。
●蒔かぬ種は生えぬ
何もしないで、良い報いだけを望んでもむりである。原因がなければ結果は生じない。春の花なしに秋の実は期待できない。
●犬も歩けば棒に当たる
犬もそこらを出歩くと棒で打たれることがある。じっとしていれば無事なのになまじっか行動を起こしたり、出しゃばったりするから禍にあう。しかしこの頃は、だまって何もしないでいては、何も変化は生まれない。何かやれば案外幸せがめぐってくるかもしれない、という消極的な意味に使われることが多い。
●三度目の正直
物事はすべて三度目が本物であるということ。占いや勝負などの場合も、一度目や二度目は偶然かまぐれ当たりかであてにならないが、三度目は確かである。三度もつづけて勝てば、強いとか上手とかに決まっているし、占いも三度同じ結果が出れば信用していいということ。
●石の上にも三年
冷たい石の上にも、三年座りつづけていれば、あたたまって居心地がよくなる。辛抱の大切なことのたとえ。
●桃栗三年柿八年
芽を出してから実がなるまで桃と栗は三年、柿は八年かかるということ。桃と栗は木の成長も早いが、柿は気長に待つほかはない。
●時は金なり
時間は貴重なものであるから、無駄に過ごしてはならぬ。
●先んずれば人を制す
人より先に事を行えば、相手を制することができるから有利であるが、人のあとにまわれば逆に相手に抑えられるから不利である
●損して得取れ
大きい利益を得ようとすれば、小さい損をして下地をつくることが大切である。目先の小さい損をいやがり、こせこせ儲けていけば、結局大きい利益を逃すことになる。
●取らぬ狸の皮算用
まだ捕まらぬうちから捕まったつもりになって、皮を売って儲ける計算をすることで、不確実なことをもとにして、儲けだけを考えること。
如何でしたでしょうか?
(決して手を抜いた訳ではないんですよ・・・)
でも、あらためて、よくよく見てみると・・・
私の家は旧家だったせいか、
祖父・祖母・父が日常的に これらの言葉を使っていました。
まさに「門前の小僧、習わぬ経を読む」だったのかもしれません。
10年そこそこの成功で、得意泰然になっていませんか?
2014/04/10 | マネジメント・業務改善
私にはたくさんの『師』と仰ぐ方々がおられますが、
『人生の師』は3人です。
1人は、危機管理の第一人者で初代内閣安全保障室長の 佐々淳行 先生
1人は、元 NTT取締役・元 東海大学理事の 故 吉田庄司 先生
1人は、元 吉村酒造(株)代表取締役会長(松葉屋吉村家4代目)・祖父の故 吉村源太郎
です。
3人の師匠のうちの1人 佐々淳行先生から賜った言葉が
『得意冷然 失意泰然』
でして・・・
私が初めて佐々先生にお目にかかった10年前に、
『君は会社を経営し、商売を営んでいるから』
と、この言葉を頂戴しました。
昨年末にお目にかかった際にも、この言葉を賜りました。
物事が上手くいっていない時ほど堂々と行動し、
逆に上手くいっている時は冷静に・・・
という意味です。
勝海舟や安岡正篤が好んだ この言葉は、
もともとは中国の故事『六然』が出典なのですが・・・
任天堂3代目社長で、現在の「世界の任天堂」を築きあげた立役者である
山内溥さんの座右の銘でもあります。
任天堂は今では世界的なゲーム機メーカーですが、
もともとは1889年に花札の商店として創業した京都の老舗です。
実は任天堂は経営理念を設定していない「珍しい老舗」ですが、
社名が経営理念の代わりを果たしています。
「人生一寸先が闇、運は天に任せ、与えられた仕事を全力で取り組む」
これが『任天堂』の社名の由来と云われています。
そのため
『財界活動を一切行わない』
(企業経営の目的をあくまで「雇用創出」と「納税」に見いだしていたから)
『他業種への進出は行わない』
(かつて、タクシー、インスタント食品、育児用品、事務機器、ホテル などの業界に進出して失敗した経験があるから)
『時代時代にあわせて柔軟性を持つ』
(花札 ⇒ かるた ⇒ トランプ ⇒ テレビゲーム ⇒ ファミコン&携帯型ゲーム機 )
『無借金経営で、潤沢に内部留保する』
(5000億という分厚い内部留保で健全な財務体質を保つ。ちなみに連結総資産は1兆4000億円)
という姿勢を貫いています。
長くなりましたが、実は ここまでが前置きです。
今回は『イーコマース成功者』と云われる方々の中の・・・
『一部の方々』 に物申したい事があります。
それは・・・
『数年~10年そこそこの成功で、得意泰然になっていませんか?』
という事です。
明後日、私が所属する ネットショップの商工会『一般社団法人イーコマース事業協会』は12周年 を迎えます。
イーコマース(平たくいうと、ネットショップ)の大半は、1990年代の終わり頃・・・
『コンピュータなんかで物が売れるかい!』 と世間が笑っていた頃に、
『インターネットによるショッピングは必ず大きくなる!』 と信じて・・・
『ネットショップとはどうあるべきか』 という問題と格闘しながら、成長を続け・・・
そして現在のように、イーコマースが大きく進化を遂げ、『成功者』たちが生まれました。
こうなると 『成功者』の中には 『怠慢』 が生まれてくる人も出てくる 訳です。
いま、売れて売れて 生産が追い付かない
という会社さんもおられますが・・・
その会社さんの商材は明らかに『リピート商材』にも関わらず
『売れてるから、そんな暇ないねん』 と、リピート対策を行っておられなかったり・・・
『やりすぎじゃないの?』というくらい、散財していたり・・・
『勝って兜の緒を締めよ』 という諺をご存じないのでしょうか?
私が創業163年の会社の経営者だから見下す訳ではありませんが・・・
『たがだか10年くらいの成功でしょ?』
と思ってしまう訳です。
もちろん、『成功している会社の経営者』でも、私生活も無駄遣いしない人や、
積極的に新米店舗さんに混ざって、熱心に勉強を続けておられる方もおられます。
ある日、私は その方に
『なぜ、あなたほどの方が?』
とお聞きしたところ、その方は こう答えられました。
『気づきが必ずあるんですよ』 と・・・
更に聞いてみると
『いやね、私も少し前までは“もう勉強する事なんてないや”と思っていたんです。』
『そうしたら売上が伸びなくなったんですよ。やっぱり、謙虚に勉強せなあかんなと思い直したんです』 と・・・
1997年(平成9年)4月1日に消費税が3%から5%に引き上げられて 17年が経ち、
今年の4月1日に5%から8%に引き上げられました。
『得意淡然 失意泰然』
いま一度、立ち止まって考えてみる時期に来ているのではないでしょうか?
「謝罪会見」に役立つ2冊の本をご紹介します
2013/11/08 | ブランディング, マネジメント・業務改善
「コンプライアンス経営」という言葉が一般的になって随分と歳月が経ちますが・・・
ホテルでの偽装表示問題が次々と明るみになり・・・
とうとう百貨店にまで広がり・・・
多くの会社で謝罪会見がありました。
また、ネットショップでは、課題演出した店舗が
景品表示法違反の恐れ・・・
という事までおこりました。
これも「一種の偽装」ともいえますね。
このニュースが、広がりを見せると、
また、次々と 謝罪会見が行われるでしょう。
6年前の「船場吉兆の偽装問題」では、謝罪会見を行ったものの・・・
かえって世間の失笑を受けて、とうとう破産手続きにまで至りました。
個人の不祥事ももちろんですが、社会性のある企業の不祥事ともなれば、
その対応如何によっては
「企業生命を失う」
ことに繋がる訳です。
この「不祥事」ですが・・・
「うちの会社は法律違反はしていない」と思っていても
「倫理的におかしい!」と批判されたりします。
つまり・・・
「不祥事のモノサシ」というのは、
時代や環境、世情によって変わってくるものでして・・・
皆さんの会社が「不祥事に巻き込まれる可能性」というのは0%ではなく、
対岸の火事として笑ってばかりおれないのではないでしょうか?
情報化社会の中、危機におけるマスコミ対応というのは極めて重要になります。
現場での対応と同時に、マスコミ対策や記者会見は、もう一つの戦いでもある訳です。
なぜなら、マスコミ対応は、
「マスコミの先にある世間との重要なコミュニケーション」
でもあるからです。
そういった危機管理・・・
とりわけ「クライシスコミュニケーション」に役立つ
2冊の本をご紹介します。
1冊は、私のお師匠・佐々淳行先生の著書
「わが記者会見のノウハウ―スキャンダル克服の秘訣」
です。
佐々先生は、いわずと知れた「国家危機管理」の第一人者で、
「危機管理」という言葉の生みの親です。
警視庁時代から数々の修羅場を潜り抜け、その後も警察庁や防衛庁、
内閣安全保障の分野で危機管理を多く担当されて来られ・・・
同時にそれに対する記者会見は数千回も行われた方です。
佐々先生とは、もう10年の師弟関係にありますが、
先生は常々
「消極的コンプライアンス」
「積極的コンプライアンス」
という言葉を口にされます。
日本的な「なにもしないのが一番」といった消極的コンプライアンスはダメで、
常にに「相手がある」ことが前提であって、
また
「コンプライアンスを“法令順守”と表現することは不十分」
「コンプライスは、英語では“応諾”という意味がある」
「コンプライアンスは組織防衛だ。組織に対するあらゆる悪い情報を
いち早く入手し、トップを中心に決断し応諾すること」
と、常々おっしゃいます。
よく、謝る側が 「法的には問題ない」 と言い、
「法的責任を果たせばOK」 と考えているけれども・・・
追及する側(マスコミ)は、法的責任に加えて、
道義的・社会的な責任も果たすべきだと考えている・・・
ということです。
著書の中では、
・記者会見で嘘は禁物。
・言えないことは言えないという。
・知ったかぶりは禁物。
・ミスリード的相槌を慎む。
・逃げない、待たせない。
・マスコミの締め切り時間への配慮をする。
・オフレコの活用
など書かれています。
もう1冊は、田中辰巳さんの著書
です。
田中辰巳さんは「リクルート事件」の渦中で秘書課長、広報課長、
総務部次長、業務部長を歴任され・・・
このときの厳しい体験をもとに、現在は企業危機管理の専門家として活躍されています。
私はちょうど田中さんがリスクヘッジという企業危機管理の会社を設立されて間もない頃に、
政府系機関のセミナーで登壇された田中さんのお話を聞いたり・・・
その後も、金融機関のセミナーや経済団体の研究会でお話を伺う機会がありました。
講演やセミナーでは、後述の「社長限界でしょ」のほかに
「謝罪には“癒す”“腑に落ちる”“許される”“忘れる”4つが揃ってはじめて完結する」
と仰っていました。
著書の中では、記者会見における謝罪のあり方として
・謝意の表明
・調査結果の報告
・原因分析
・改善案の提示
・処分・賠償
の順に、説明して謝罪すすべきだと書かれています。
この項目の頭文字を取った『謝・調・原・改・処』をもじって
「社長限界でしょ」
と覚えればよい・・・と述べておられます。
また
・言い訳や反論をしない
・嘘や隠蔽をしない
・曖昧な言葉を使わない
・方向を間違えない
・遅くならない
・早とちりしない
・足並みを乱さない
・処分を怠らない
といった事も述べておられます。
お2人とも、事例を交えた読みやすい文章を書かれます。
時間があったら、ぜひお読み下さい。
インプットとアウトプット
2013/10/23 | マネジメント・業務改善
こんにちは。ハイフィット社長の吉村正裕です。
今回の話題は「インプットとアウトプット」です。
最近、つくづく感じるのは「“知る”のと“行う”のは違う」ということです。
つまり「頭の中にインプットしただけで、何もしなければ結果は何も変わらない」ということです。
例えば、柔道の場合・・・「背負い投げ」という技がありますが
理屈で
(1)釣手側の肘ないし前腕部で相手の脇を下から固定
(2)引き手を引く
(3)支点を肩ないし背中に置いて、テコの原理で投げる
と知ったところで、試合で投げれる訳がなく・・・
頭で覚えたことを、身体で覚えさせるため、反射的に身体が動くようになるまで、
ひたすら組手練習や本番の試合で経験を積むのが大切な訳です。
よく 「セミナーマニア」 「本マニア」 といった勉強会マニアの方がおられますが・・・
実践出来ていない方が多いです。
とにかく、「アウトプット(出力)すること」
これが大事な事なのです。
ここで1つ注意しなければならない事があります。
「なにしろ、良い話と思ったら実践あるのみ」
というのは、正しい事ですし、
大事な事ではあるのですが・・・・
「とりあえず、実行あるのみ」を鵜呑み・丸のみしてしまい
逆に弊害を起こされる方もおられます。
これまた「セミナーマニア」「本マニア」の方に多いのですが・・・
例えば、店舗運営の場合・・・
「転換率を上げるために【A】を実施した」
↓
「でも、結果が出なかったので、集客を上げるために【ア】を実施した」
↓
「でも、結果が出なかったので、客単価を上げるために【甲】を実施した」
という方。
違いますよね・・・
本来行うべきは、
「転換率を上げるために【A】を実施した」
↓
「でも、結果が出なかったので、転換率を上げるために【B】を実施」
↓
「でも、結果が出なかったので、転換率を上げるために【C】を実施」
なんですよね。
「何か他に良い方法は?」とインプットされる事自体はかまいませんが・・・
「アウトプット前提のインプット」
これが大事なんです。
孫子の兵法(軍形篇)『モノサシを決めておこう!』
2013/06/11 | マネジメント・業務改善
こんにちは。ハイフィット社長の吉村正裕です。
今回の話題は「モノサシ」です。
業務を可視化したら、
その次は 「体制を再構築」 しなければなりません。
そこで、ヒントとなるのが
「孫子の兵法」です。
孫子の兵法の『軍形編』に次のような一節があります。
『善く兵を用うる者は、道を修めて法を保つ』
『故に能く勝敗の政を為す』
(現代語訳)
用兵に優れた者は、勝つための考え方を踏まえて、進むべき道筋を示し、軍制や評価・測定の基準を徹底させる
『法は、一に曰く度、二に曰く量、三に曰く数、四に曰く称、五に曰く勝』
『度』とは、長さ・広さの計算。
つまり、戦場の広さや地形(市場規模や特性)を把握すること
『量』とは、分量の計算。
つまり、投入する兵力(人・金・物)の大きさを把握すること
ここで注意すべきは「多ければ多いほど良い」という訳ではありません。
キャパシティを無視した兵力投入は命取りになりかねませんからね。
『数』とは、数値の分け方の判断。
つまり、部隊編成(人・金・物の配置)です。人の能力や資質、業務内容や品物のタイプを状況にあわせて吟味すること
『称』とは、軽量の判断。
つまり、戦場(業務・仕事)のどこに重点を置き、どんな部隊(人・金・物の配置)に重点を置くか、を比較し、見極めること
孫子は、
物事を正確に把握する尺度や基準
(モノサシや、升目、数、比較対象)を
「予め明らかにしておかねばならない」
と説いたのです。
要は、「棚卸して可視化した業務」に対して、基準値や目標値を設定し、それをどう測るのかを予め決めておく。
さらに、その結果をどう評価に結び付け、再改善に反映させるかを徹底しておかなければならないということです。
これらの流れを、誰が見ても分かるように見える化しておくことが、「業務改善」を進める上で必要なのです。
業務の棚卸について
2013/06/06 | マネジメント・業務改善
こんにちは。ハイフィット社長の吉村正裕です。
前回、『業務の取捨選択』について書きました。
今回は『業務の棚卸』について書きます。
メーカーや問屋や小売業で通常『棚卸』というと「在庫の棚卸」を指しますよね。
この時
『この商品(仕掛品・資材・原材料)は、1000個あるはず』
『実際に数を数えてみると・・・1000個』
『よし!合ってる!』
ところが理屈上はそうでも、実際にはそうでなかったりします。
というのも「帳簿上より実際に多かったり、少なかったり」しますし、
たまに「帳簿に乗っていなかった資材・包材」というものが
出てきたりするんですよ。
「あれ?これ・・・去年 発注してたのね?」とか
「あれ?こんなもの、もう使わないぞ?」とか・・・
メーカーの場合は、特に「???」というものが出てきたりします。
私は酒造会社の蔵元でもありますが・・・
昔は この棚卸だけで、1週間を要しました。
ローテクの時代でしたから・・・
当時、酒蔵と瓶詰工場と、2ヵ所の拠点がありましたので、
いちいち棚卸表の紙に赤ペンでチェック。。。
しかも電卓で計算・・・
いま、同じことをやれと云われても嫌ですし、無理です(苦笑)
今は、ハンディターミナルやPC(タブレット端末)などを用いて
省力化されていますので、こんな風景はどの会社さんでも
お目にかからなくなりましけどね・・・
話は逸れましたが・・・
『業務の棚卸』も同じです。
「いつ」 (時間帯)
「どこで」 (場所)
「誰が」 (作業者・管理者)
「誰と」 (作業者・管理者・外注先etc)
「何を」 (作業前の状態のモノや仕事)
「どのくらいかけて」 (人・金・モノ・時間)
「どうしているのか」 (作業後の状態のモノや仕事)
を洗い出していくことが重要となります。
ここで、間違ってはいけないのは
この段階で
『現在の業務ルールを洗い出すわけではない』
という事です。
レンホーさんの「事業仕訳」ではありませんので(苦笑)
というのも、どのような会社でも
「ルール」「慣例」「習慣」というものが必ず存在するのです。
それらを先に洗い出すのではなく、
先に 「現状業務の棚卸」が必要なのです。
要は「現在の作業」について、
“いつ”
“どこで”
“だれが”
“何を”
“どのくらい要して”
“どのように”
について、
余すところなく『把握』して『見える化』する
のが第一歩なのです。
ここの手を抜くと、後で痛い目にあう場合があるので、
まずは『可視化』『再認識』が必要なのです
業務の取捨選択の必要性
2013/05/31 | マネジメント・業務改善
こんにちは。ハイフィット社長の吉村正裕です。
今回の話題は「業務の取捨選択」です。
私は、モールの店舗さんを中心に「店長育成サポート」を行っているのですが、
取扱い商品も、会社の規模も様々ですし、
形態もメーカーさん、卸さん、小売さん・・・と様々です。
そんな中で、取扱い商品や業態や規模によっては
「効率化」について悩まれておられる会社さんが多々あります。
なにしろ、ネットショップは「やる事」が多いですから・・・
『何をやるか』は、とても大事なことですが、それ以上に大事なのが。。。
『何をやらないか?』 なのです。
いわゆる【業務の取捨選択】ですね。
ただし、取捨選択のためには、一時期は気合いと根性で、ガムシャラに様々業務を経験する必要があります。
店舗開店当初は、あらゆる事を試したり、頑張ってみて・・・
徐々に自分の店と合う業務に重点をかけていきながらシフトしていくことが大切でしょう。
私の会社が、WEBサービスのツール等を提供しているから言うわけではないのですが、
中途半端な知識で、自分で必死で時間をかけてサイトを作成している方・・・。
そんな暇があったら、
売上をあげるための戦略を練ったり、
競合他社の研究をしたり、
商品の勉強をしたり、
コンテンツを充実させたり、
接客活動をしたり・・・
という仕事に集中したほうが良いのではないでしょうか?
話は少し逸れますが・・・
最近、
『悪徳業者に騙された!』
という方が増えています。
ほんとに酷い業者っていますからね・・・
で、騙された方の多くは
『このままだと、腹の虫がおさまらない!』
と、訴訟活動に燃えておられる方もいます。
別に、いいんですよ。いいんです、、、
自分の精神を鎮めるために必要でしょうし、社会正義のためにも必要でしょう。
でもね・・・
ネットショップ経営者の
本来の業は、
あくまでも商人なんですよ。。
まるで、株式投資をなさっていて、
「証券マンに騙された!」
「おかげで損をした!」
といって、弁護士を雇って、弁護士費用と訴訟費用を払って・・・
挙句は、裁判所に
「それって、あんたの自己責任でしょ?」
と言われて、損を重ねるのと同じではないでしょうかね?
商人の本来の仕事は
「価値を提供してお金をもらうこと」
そのための、さまざまな研鑽
ですからね。。。
何をするかを決めると同時に、「何をしないか?」をしっかりと決めてみてはいかがでしょうか。
そのためには『業務の棚卸し』『見える化』が第一歩なのですが、それは次回に書きたいと思います。